年に1回は読み返してしまう本です。
- 作者: 陳舜臣
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/03/01
- メディア: 文庫
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「三国志演義」を知っていてこそ楽しめる本だとは思うのですが、陳舜臣さんの時代の掘りさげかた、中国の「周辺地域」から時代を見るという視点、また仏教というこの時代の新しい宗教から眺める視点が、この当時を生きた普通の人々の生き方や暮らしを浮かび上がらせ、三国志という時代の雰囲気をよりリアルに感じさせてくれます。
数々の登場人物も決して激するわけではなく、あくまで淡々と、当時の人のおおよその常識を推察すれば、こういうこともありえたのではないかと思わせるような自然な流れで物語が展開されていきます。
ある意味、「英雄の見る所はほとんど同じ」という感じでもあります。
漢文で書くと、「英雄所見略同」。
英雄の見る所はほとんど同じ - ぺーぺーぷーぷーな日々
意味は、「才能のある人の考えることは自然と似たようなものになる」という意味。
そして、三国志の時代の「周辺地域」には弥生時代を迎えたクニがあります。
そのクニの女王は「よく鬼道を事とし」、その鬼道の源流は五斗米道にあるという可能性を思うと、当時の人々の信仰とともに、より三国志の世界を深く味わえるというわけです。