ぺーぺーぷーぷーな日々

Claris FileMaker と戯れる日々です。

「総合科」には反対らしい


5月16日の asahi.com より

診療科を半分近くに再編 医師不足解消の思惑も 厚労省
厚生労働省は、医療機関が名乗ることができる診療科を、現在の38科から20科程度に再編する方針を固めた。細分化して患者にわかりにくくなっている診療科を廃止する一方で、幅広い病気を診断できる医師に公的資格を与え、その医師がいる医療機関には「総合科」(仮称)を名乗ることを認めることなどが柱だ。患者が医療機関を選びやすくするほか、医療機関ごとに初期診療と専門医療の役割分担を明確にし、医師不足の一因とされる大病院への患者集中を緩和する狙いもある。


また、5月23日の YOMIURI ONLINE より

医師の看板 「総合科」で開業医はどう変わる(5月23日付・読売社説)
 総合診療医が制度化され、各地で開業することになれば、医療が抱えるひずみの解消につながるのではないか。患者がまず総合科の診察を受け、総合診療医の助言と紹介で専門医や中核病院に振り分けられれば、医療機関の役割分担が明確になる。患者も安心だ。
 厚労省は、総合科については、医師が自由に看板を掲げることは認めない方針だ。総合診療医を名乗るのにふさわしい医師かどうか。それをどう認定するかが今後の重要な論点となる。


これに対して、日医白クマ通信 No.661 より

中川常任理事 厚労省「総合科」構想に対し、再度の反論

  1. 初期診療を「総合科」に限定することは、患者から、自由な医療機関選択の権利を奪う。
  2. 地域の住民が信頼を寄せている医師が必ずしも「総合科」になるわけではなく、アクセスポイントが減少することになり、信頼している医師を受診できないことが受診抑制につながる。その結果、地域格差も広がりかねない。
  3. 国が「総合科医」という、新たな認定医制度を設置することになり、官僚の権益が拡大する。ひいては、地域の医療提供体制全体の管理統制にもつながる。


患者の立場としては、上記読売新聞の記事のように、機能が整備された方が、受診する際にも安心なように思えます。
だいたい、高度に専門的な名称が看板に書かれていても、どのような症状のときに、どの診療科を尋ねるべきかというのは、素人にはわからないことの方が多いのではないでしょうか。

  • 皮膚疾患だと思ったら内臓疾患だったり
  • 筋肉痛だと思っていたら循環器系の病気だったり

その点、「総合科医」を名乗れる医者は、有難い。


しかしながら、日本医師会をはじめ、様々な学会が反対ということらしい。
とはいえ、「受診抑制につながる」という点には、あまり説得力は感じません。
最終的には、患者は評判の良い医者のところに行くでしょうし。


「新たな認定医制度を設置することになり、官僚の権益が拡大する」という点については理解できます。
ついでに機能評価の認定病院制度も批判してもらいたいのですが。

余談


多少のお可笑しみを感じてしまうのは、今回の件に限らず、一口に「医療系の関係団体」といっても、その数がとても多いことです。


例えば、病院系の団体だけでも、


また、開催される学会の数を、「財団法人 国際医学情報センター」(HOME > 医・薬学会情報)ということろで検索してみると、2007年5月の1ヶ月間に開催された学会の数は、全国で176件にも及びます。
すごい数ですね。なるほど高度に専門的な医療界。勉強することが多すぎです。
これなら健康情報番組もネタに困りそうにありません。
他の業界も同じようなものなのでしょうか。


ちなみに、医療法第6条の6では、標榜診療科の改廃の立案に当たっては、厚労大臣が


「医学医術に関する学術団体及び医道審議会の意見を聴かなければならない」


と定めているようですが、今後、各学会が医療法の指す「学術団体」に含まれるかどうかも議論になりそうだそうです。

それはさておき


話はそれましたが、今回の厚労省の案には、患者としては賛成したい。


また、今回の厚労省案の狙いは何かということを考えた場合、要は開業医を減らして、医師を病院に集約したいという意図を持っているのでしょう。
これについては、僻地の問題があるとしても、小規模乱立より大規模集約の方が資源も有効に活用できて、患者にとってはメリット。


以上、雑感。
医療の抱える様々な問題に対しては、日頃から同情しつつも、今回の件については、医療界こぞって反対、というニュースに違和感を感じたので。
ああ、相変わらず文章が下手だ。