ぺーぺーぷーぷーな日々

Claris FileMaker と戯れる日々です。

職員名簿:最初に作ったデータベース

FileMaker、というかデータベース構築の初心者が取り組む題材としては、「職員名簿」とかイイんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう?


何を隠そう、私が最初に取り組んだのが職員名簿で、選んだ理由は、


「基本的に内部向けのSolutionなので、多少失敗しても影響が少ないから」


という実に小心な発想(笑)。


しかしながらこの職員名簿、取り組んでみると意外と奥が深い。


「職員基本情報」といった単一テーブルで運用可能かと思いきや、

  • 部署異動ってやつは、一人の職員が複数回異動するわけだし、
  • 同居の家族っていうのも複数人
  • 資格や学歴職歴だって人によっては多数
  • 産休や育休だってある


といった具合で、「1対多」の関係がたくさんあるし、しまいには一人で複数回採用、つまり、一度辞めて改めて戻ってくる、というパターンもあったりするし、そもそも基本的なところとして「年齢」という計算式も考えなければいけませんし、プライマリーキーという概念についても給与計算で用いられている職員番号もあれば職員それぞれに患者番号もあったり、そのうち顔写真だって一緒に管理したくなるし、後々は人事考課との連動が生じたり、さらには病院の場合だと職員の予防接種や感染対策にも応用したいし、おお、労働法や社会保険の知識だって持ってたほうがいいぞ、、、。


と、考える材料はたくさんあるわけです。
とはいえ、まずは「基本情報」から少しずつ構築していけばイイんじゃないかと思います。

テーブルとリレーション



現在の私の名簿だと、テーブルが13個くらいあるようですが、だいたい以下のとおり。

  • 職員基本情報
    • 氏名、生年月日、連絡先、部署など。
  • 異動履歴
  • 就労履歴
    • 入職退職や産休育休の履歴
  • 等級履歴
  • 社会保険
  • 資格
  • 手当
  • 学歴職歴
  • 家族構成
  • 車両(通勤用)
  • 緊急連絡先


リレーションはこんな感じ。


数は多いかも知れませんが、複雑というわけではありません。

検索機能


データベースは検索ができてなんぼ、という面はあるわけで、この点もイロイロと策を講じてきました。




現在の検索手法は、グローバルフィールドで「検索用フィールド」を用意しておいて、そこに入力されたキーワードを各フィールドにスクリプトでもってガシガシ放り込んで検索させるという、例の方法。
確か昨年のFileMakerカンファレンスでも紹介されていたと思います。
名前での検索はもちろん、部署名、住所、通勤用の車のナンバーだって検索窓ひとつで検索できます。


で、さらには、もう少し手の込んだ検索も。



詳しくは書きませんが、動的値一覧やチェックボックス、LoopスクリプトやGetValue関数などを使って、部門部課職種をうまく絞り込みながら検索するための仕組みも用意しています。
この方法だと、複数の部署(検索条件)を一度にリストアップできます。
これらは鋭意構築中ですが、医療機関てところは職種が多い所でもあるので、うまい方法を考えたいところ。


ちなみに、期間検索なども。

さらなる拡張


基本が整ってくると、様々な機能をつけたり他のデータベースとの連動だってさせたくなってしまうもの。


単純なところでは、「労働者名簿(労働基準法第107条)」の印刷なんて当たり前の話。


上記は経理課の課長が自分で印刷レイアウトを整えられた。
WordやExcelで1枚1枚書いている場合ではない(笑)。




または、うちのところでは職員名簿が人事考課とも連動していて、自己評価の記入用紙の印刷や考課点数の入力、換算、集計なども FileMaker で行なっています。


点数を換算する際のウエイト設定なども。


そして各部署の考課担当者にはFileMaker Advanced 版で作ったランタイムを配布して、入力してもらっています。


ところで。


人事考課を行うためには、勤務年数、異動履歴、取得した資格、考課担当者、等級、、、その他、確実な基礎データが管理されていなければ考課そのものをスタートさせることすら困難。
名簿のリストアップが即座にできないようでは考課すらままならず、もちろん、その後の集計・検討など、ほとんど不可能。


世間には「等級制度」や「社員のヤル気を引き出すための人事考課」などといった「体系」を指導してくださる先生方がいらっしゃるようですが、日常的に管理できる情報システムとセットでなければ、まともな運用なんてそもそも無理。


半年分の人事考課を行うのに1年がかりじゃあ、話しにならないし、人事考課の履歴の管理が紙ベース、なんていうんじゃ、洒落にもならない。
「体系」を売り込む前に、実用的な管理システムを導入したほうがよろしい。


それはさておき。


職員名簿は、職員の感染対策とも連動させたいわけで、この点については過去にも書いたことがあります。

院内感染対策としてはインフルエンザに限らず、
麻しん、風しん、おたふくかぜ、みずぼうそう、B型肝炎C型肝炎など、
各種の抗体検査の結果を受けて、その後の予防接種の履歴まで管理する必要があります。

職員の予防接種や抗体検査履歴の管理 - ぺーぺーぷーぷーな日々


以上、身近なだけに真に実用的であることが求められる職員名簿。
練習がてら気軽に取り組んでみてはいかがでしょう。