ぺーぺーぷーぷーな日々

Claris FileMaker と戯れる日々です。

介護予防からパワーリハのことを思い出しました。


私の住んでいる地域でも、新たな「介護予防」政策が自治体主催で始まるらしい。
主な内容は、医療機関による身体機能維持のためのトレーニング指導のようです。
先日、うちの病院にも自治体から参加要請がきた模様。
詳しい内容は知らないのですが(知る立場にもないので)。


そんな折、コムスンに関連する記事を拝読中に、下記のような記述をみつけました。

身体機能の向上では筋力トレーニングがクローズアップされたことから、高齢者に筋トレが必要なのかという議論が巻き起こった。決してマシンを使うことが制度で規定されているわけではないのだが、マシンを導入する事業者が相次いだ。
 確かにトレーニングを続けると高齢者でも筋力を向上させる効果はあるようだが、休むとすぐ元に戻ってしまう。しかも、指導ノウハウが不足していると筋トレはケガにつながることも少なくない。
 こうした点が高齢者に敬遠されたのか、読売新聞の調査(2007年3月26日付)によると、予防給付の実施は当初予算の50%未満にとどまる自治体が6割にのぼった。30%未満という自治体も3割に達し、ほとんどサービスは利用されていない。

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/special/230/02.html


そうか、元気な人は、わざわざ病院には来ないということなのか。  当たり前かもしれません。
(記事内にある読売新聞の調査はこちら。http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20070326ik01.htm)
上記記事は、以下のように続きます。

 介護において「予防」という考え方は重要だが、筋力など高齢者の身体機能を向上させようとする発想には疑問を感じる。そもそも予防によって給付総額の抑制につながるかどうかも明確ではない。身体機能よりも、高齢者に対して生き甲斐や楽しみ、周囲との交流など精神的なサポートを行う方が意義のある介護予防につながるのではないだろうか。

http://www.nikkeibp.co.jp/sj/special/230/02.html


そうか、グランドゴルフ大会でも開催した方が効果的なのかもしれません。
ついでに思い出したのが「パワーリハビリテーション」。一時期、流行りました。 (今も?)
「パワーリハ」については、かつて、国会の厚生労働委員会でも話題になったネタです。

○尾辻国務大臣
 個々の話は今いろいろ出ておりますけれども、まず大きく言いますと、こうしたことに対するエビデンスがあるかないかということでございますが、ある方がお書きになった論文の中にいろいろ書いてありまして、そういったことをやって何が変わったかというと、全体的健康観が、これは五四・四%から六六・四に二二%改善した。(山井委員「そういうのはエビデンスと言わないんですよ。個人的な感想ですよ、そんなものは。大臣、もういいですよ、それなら」と呼ぶ)いや、これはやはりエビデンスだと思います。ちゃんと書いてあるわけでありますから。
そして、こうした、いろいろ書いてあるんですが、この論文の中の一部を読ませていただきますと、
岩手県のある小さな町で運動トレーニングをした際、二年前にご主人に先立たれた八十二歳の女性が、半年間のトレーニングを終え、終業式で挨拶し、「浮き沈み 八十路の坂を登り来て 光り見出し生きる喜び」という歌をよまれた。八十を過ぎた方が筋トレをやって良かった、これで人生変わったということを言ってくださった。
ということも記述されております。こうしたことがエビデンスだというふうに考えます。
○山井委員
 大臣、そのお年寄りの話がエビデンスと言われると、私もうひっくり返ってしまいます。そういうのはエビデンスとは言いません。効果がある人もいるでしょう。でも、政策を判断するためには、何人のうち何人がそういう効果があって、何カ月持続されているかということです。
・・・・(中略)
○山井委員
 それと、もう一つ行きます。この十七ページ、A3の二枚目です。この日医総研のデータによると、大臣、よく見てくださいよ、「階段を二階まであがれますか?」初回三三%、三カ月パワーリハビリをやったら五八・三%まで行ったけれども、また卒業後二カ月たったら二五%、つまり初回よりも悪化している。これは、全体的な傾向を見たら、終了時にはよくなるけれども、その後は悪くなっているわけですね。それで、ここにも書いてあるんです、上に。「パワーリハ終了後の日常生活状況をみると、経過した期間によらず、ほぼ全ての項目について、一度改善した機能が再び低下していた。」
 大臣、例えば筋力トレーニングで三カ月後どれだけ効果が継続できているかという調査は、しっかりそちらでされているんですか。
○西副大臣
 委員御指摘のように、終了時しばらくすると若干悪化するということは、このグラフのとおりだと思います。それは一般的にはそういうことだと思います。(山井委員「そうでしょう」と呼ぶ)ええ。だから、我々はこれから、要するにこの効果の維持のために、これをフォローアップするために、地域支援事業等とかそういう形で地域で支え合っていくということを、今回介護の中で考えているということでございます。
○山井委員
 今の答弁を聞いていたら、まだどうやってその効果を持続できるかもわかっていないわけですね。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009716220050406013.htm


世の中では、しばしば、眉唾モノのエビデンスが堂々と報告されたりします。
やはり、そういうものに対しては、「そのデータの一致は偶然だろ!」「それは分析じゃなくて感想だろ!」と突っ込むべきなのでしょう。


この「パワーリハ」も一時期、介護保険の目玉のごとく取り扱われ、

くらいの勢いでした。


まさに、「マシンを導入する事業者が相次いだ」わけです。
私は、未だに不信感がぬぐいきれない。
私なんぞは、こういうものに対して、すぐに「たぶん、何かの利権だ」と思ってしまうのだが。


国民の医療費を、特定の商品、特定の名称、特定の企業に利益誘導するような行為こそ、まさに、介護保険を食い物とする行為だと思うのだが。